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心と身体のサイン

適応障害で休職するか迷っているとき、まず確かめたい 6 つのこと

執筆 kokoro編集部・kokoro-link.com 編集部

適応障害で休職を迷う夜のために、自分の状態・休む意味・収入・復帰までを 6 つの目安に分けました。診断書・傷病手当金・職場への伝え方も、急がず一緒に考えます。

月曜の朝、目覚ましが鳴る前から目が開いています。布団の中で、上司に送る LINE の下書きを何度も書いては消します。「すみません、今日は」――そこから先が、いつも続きません。

スマホの検索バーに、「適応障害 休職」とだけ打ったままになっている。そんな夜を、ここ数週間、何度もくり返しているかもしれません。

休んだほうがいいのは、なんとなく分かります。でも、休むと決めるのは怖い。怖いし、申し訳ない気もする。判断するための材料が、頭の中でぐるぐるしているのに、整理ができない。

休む/休まないを今日決める必要はありません。決める手前で先に確かめておきたいことを、6 つに分けてあります。

1. 月曜の朝、ベッドの中で何が起きているか

朝、起き上がるのに 30 分以上かかる日が続いているなら、それは「気持ちの問題」ではなく、身体が先に SOS を出しているサインかもしれません。

厚労省「こころの耳」が共有している適応障害の説明では、明らかなストレス因に対する反応として、気分の落ち込み、不安、不眠、出社困難などが現れるとされています。学会の総説でも、適応障害は産業現場やプライマリケアで最もよく見られるストレス関連症のひとつだと整理されています

診断名は、医師に診てもらうときに決まっていきます。その前に、自分でも見ておきたいのは、今の身体がどんな状態にあるかのほうです。

  • 朝、目は開いているのに、起き上がれない日が週に 3 日以上ある
  • 日曜の夜から胸の力が抜けない
  • 仕事のことを考えると涙が出る、または動悸がする
  • 食事の味が薄く感じる、眠っても疲れが取れない

ひとつでも当てはまっているなら、それは怠けや甘えではありません。身体が、しばらく休む時間を欲しがっている、というサインです。

2. 「休んだほうがいい」と「まだ大丈夫」を分ける、6 つの目安

迷いの正体は、「自分はそこまで重症じゃない」という気持ちと、「でも何かがおかしい」という感覚の、行ったり来たりだと思います。

判断のための完璧な線引きはありません。ただ、休職という選択肢を真剣に検討してよい、と臨床現場で言われている目安は、いくつかあります。

  1. 業務遂行が、自分でも明らかに落ちている(ミスが続く、判断ができない、いつもの 3 倍時間がかかる)
  2. 身体症状が出ている(不眠、頭痛、動悸、消化器症状、出社時の腹痛など)
  3. 休日に回復しない(土日寝ても、月曜にまた同じ場所に戻ってしまう)
  4. 特定の場面で涙、震え、過呼吸が起きる(上司の前、会議室、出社の電車など)
  5. 「消えたい」「いなくなりたい」が頭をよぎる(ここに当てはまる場合は、休む/休まないの議論より先に、医療機関の受診を)
  6. ストレス因がはっきりしている(部署異動、新しい上司、過重労働、ハラスメント、ライフイベントなど)

ICD-11 の最新の整理でも、適応障害の中核は「ストレス因へのとらわれと、適応の失敗」だとされています。ストレス因が外れれば、症状はゆっくり治まっていきます。逆に、ストレス因から離れる時間を作らないかぎり、症状は重なるばかりです。

「自分はそこまで重症じゃない」という気持ちは、無理に手放さなくて構いません。重症だと感じる前に休んだほうが、回復は早く済みます。重症になってからでは時間がかかります。

3. 休職は、逃げではないのか

逃げかどうか、と問うこと自体が、すでに自分を追い詰めている合図かもしれません。

「俺、もう少し頑張れるはずだ」「自分が抜けたら現場が回らない」。マネジメント側にいる人ほど、この内側の声が強くなります。リーダーが弱音を吐けない構造の話は、別の記事で扱う予定です。ここでは、要点だけお伝えします。

休職は、辞表ではありません。労働契約を残したまま、給与所得者の身分を保ったまま、医療上の理由で一定期間、出社を止める制度です。厚労省・こころの耳の職場復帰ガイダンスでも、休職は「治療と並行して、再び働ける状態に戻るための準備期間」と位置づけられています。

国内の産業衛生研究では、構造化された復職支援プログラムを通った労働者の出社継続率は 91.6% にまで改善したというデータがあります。10 人いれば 9 人が、戻ったあとも仕事を続けられている計算です。続けられるかどうかを決めていたのは、本人がさらに頑張ったかどうかではなく、戻る職場の側がどれだけ調整できていたかでした。

休職は、逃げではありません。心身を立て直すためにある制度です。使うかどうかは、強さや弱さの問題ではありません。

4. 言い出すルートは、ひとつではありません

直属の上司にどう切り出すか。多くの人が、ここで何週間も止まります。

切り出しにくいときは、ルートを変えても大丈夫です。

  • 人事に先に伝える(特に、ストレス因が直属の上司である場合)
  • 産業医に面談を申し込む(社員 50 人以上の事業場には選任義務があります)
  • もっと上の管理職に直接話す
  • 心療内科の診断書を先にもらい、診断書を起点に動く

Psychology Today の adjustment disorder の解説でも、未対応のまま働き続けると、業務遂行能力がさらに落ち、最終的に職を失うリスクが上がると整理されています。早めに第三者ルートを使うことは、組織にとっても合理的な選択です。

診断書は、心療内科や精神科の初診で必ず即日もらえるわけではありません。症状が明確で緊急性が高い場合は当日発行されることもありますが、多くの場合は 1〜2 回の診察を経てから発行されます。費用は 3,000〜5,000 円ほど。これは保険適用外で自費です。

伝えるときの言葉は、シンプルで構いません。「医師から、しばらくの休養が必要と言われました」。理由を細かく説明する義務はありません。診断書があれば、どのルートでも通ります。

5. 休んでいるあいだに、お給料は止まるのか

これが一番心配で、一番調べにくいテーマだと思います。

健康保険に加入している会社員であれば、業務外の病気・ケガで連続して 3 日以上休んだあと、4 日目から「傷病手当金」が受給できる仕組みがあります。受給期間は、同じ傷病について最長 1 年 6 か月。1 日あたりの金額は、過去 12 か月の標準報酬月額の平均を 30 で割ったものの、約 3 分の 2。

たとえば月給 30 万円前後の人なら、月 20 万円弱が支給される計算です。生活費の全部はカバーできなくても、「辞めるか続けるか」を急いで決めなくていい時間は、ここで確保できます。

加えて、適応障害の発症原因が業務上のストレス(過重労働、ハラスメント等)と認定されれば、傷病手当金ではなく労災の休業補償給付が適用される可能性もあります。判断は専門機関に任せる領域ですが、両方のルートがあることだけは、頭の片隅に置いておいてください。

厚労省の職場復帰支援は 5 つのステップに分かれており、休業開始から復職後のフォローアップまでが、制度として一本につながっています。

6. 休んでも、もう一度同じ場所に戻るだけなのではないか

これが、最後にして最大の問いです。

休んで、半年後に同じ職場に戻り、また同じ朝が来るのではないか。そう思って、休む決断ができない人は、本当に多くいます。

「もう一度同じ場所に戻る」を防いでいるのは、本人の意志ではなく、戻る側の構造です。先ほど触れた出社継続率 91.6% の研究も、本人が「もっと頑張った」結果ではありませんでした。段階的な復職プログラム、業務量の調整、産業医と主治医の連携、そういう外側の構造が違っていたから、続けられた人が増えたのです。

それでも、夜になると別の問いが戻ってきます。「自分はなぜ、こんなにも休めないんだろう」。「なぜ、弱みを見せられないんだろう」。

この問いは、多くの場合、職場の話で完結しません。親に弱みを見せられない、という子どもの頃に身についたクセが、今も影響していることがあります。これは「親のせいにする」という話ではありません。親子関係の影響を事実として受け止めることは、誰かを責めることでも、関係を絶つことでもありません。そういう視点で書いた記事に、アダルトチルドレンの6タイプ——役割から自分を理解するがあります。

一歩、踏み切る前に

休む/休まないの判断は、今日決めなくて大丈夫です。

「自分はもう少し詳しく症状を確かめたい」と感じたら、適応障害の症状とは。心と身体が出す「限界のサイン」を見分けるに戻ってみてください。

「休んだあと、何をしていれば回復に近づくのか」が気になるなら、適応障害の治し方|環境・心理療法・薬物療法、3 つの柱と回復までの時間軸で、もう少し具体的に書きました。

「働き方そのもの」を見直したくなったときのために、燃え尽き症候群の全体像をまとめた記事も随時公開します。

戻る準備のための心の道具は、認知行動療法の基礎を書いた記事で。

最後にひとつだけ。判断は、急がなくて大丈夫です。今夜また同じ問いが戻ってきても、明日の自分にもう一度預けてしまって構いません。

Frequently Asked

よくある質問

  • 適応障害で休職するのに、診断書はその日にもらえますか

    心療内科や精神科の初診で診断書をその日に受け取れるかどうかは、症状の明確さと医師の判断によります。出社できない状態が続いている、強い不眠や抑うつがあるなど緊急性が高いと医師が判断すれば、初診で発行されることもあります。多くのケースでは 1〜2 回の診察を経てから発行されると考えておくと、気持ちが楽です。費用は 3,000〜5,000 円ほどで、保険適用外で自費です。

  • 休職を上司に切り出すのが怖いです。どこから話せばよいですか

    直属の上司に最初に話す必要はありません。ストレス因が直属の上司である場合や、評価への影響が怖い場合は、人事、産業医、その上の管理職など、別のルートから入っても問題ありません。診断書があれば、どのルートからでも休職手続きは進められます。話す内容は「医師からしばらくの休養が必要と言われた」で十分です。理由を細かく説明する義務はありません。

  • 休職中、お給料はどうなりますか

    健康保険に加入している会社員であれば、業務外の傷病で連続 3 日休んだあと、4 日目から傷病手当金が受給できます。金額は過去 12 か月の標準報酬月額の平均を 30 で割ったものの、約 3 分の 2。月給 30 万円前後の人なら月 20 万円弱が目安です。生活費の全部はカバーされませんが、「辞める/続ける」の選択を急がなくていい時間が手に入ります。支給期間は同じ傷病について最長 1 年 6 か月です。

  • 適応障害の休職期間は、平均どれくらいですか

    厚労省関連の調査では、メンタルヘルス不調による平均休職期間は約 3.5 か月程度と言われています。ただし症状の程度で差が大きく、軽度なら 1 か月程度、中等度で 3〜6 か月、重度の場合は 1 年以上を要することもあります。重要なのは平均値に合わせることではなく、ストレス因から離れた状態で、身体が回復のサインを出すまで待つことです。

  • 休職することで、キャリアに傷がつきませんか

    休職は労働契約を残したまま、医療上の理由で一定期間出社を止める制度です。退職や解雇とは別物で、復職を前提にしています。短期的にはキャリアの停滞に見えるかもしれませんが、未対応のまま働き続けて業務遂行能力が落ち、最終的に職を失うリスクと比べれば、休職のほうが長期的には選択肢を残せることが多いです。判断は急がなくて大丈夫です。

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Colophon / 執筆と監修

Written by

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